ふたりは仲良し!? ユミンジャーズ[第1話]カウラとシュナイデル
【第1話 カウラとシュナイデル】
メイプルワールドのどこか。
とあるところに、二人の弓使いが暮らしていました。
暗黒の魔法使いの脅威に晒された
この世界を守るために、
今日も鍛錬をしているようです。
さて、どんな様子でしょうか?
~マイホーム 「ユミンジャーズの家」にて~
カウラがいけないんでしょ!
はあ、どうしてそうなるわけ?
じゃあ聞くけど、ここに置いてあった私のお菓子はどこに行ったの!
だからさ、それさっきから知らないって言ってるじゃん。
アタシ、今日は買い出しとお風呂掃除の当番で忙しいんだけど?
そんなの分からないじゃん!
私が水を汲みに行ってる間にカウラが食べちゃったんじゃないの!?
ああもういいよ!
カウラなんて嫌い!
あっそ、そっちがその気ならアタシだって......!
なんだか、様子を見に来た私たちが間違いだったのかもしれませんね。
二人は鍛錬をしていません。
怒ったシュナイデルは家を出て行ってしまいました。
たいへん不本意ですが、彼女を追ってみましょう。
~マイホーム裏、とある山道にて~
バカカウラ。
もうユミンジャーズとしての活動はやめた。
はあ、今日から私は宿無しの一文無しだ。
どうやら落ち込んでいますね。
ユミンジャーズというのは、
彼女たちのチーム名なのでしょうか。
シュナイデルは家には帰らないようです。
歩いたらお腹空いてきた。
そういえば、まだご飯を食べていなかったっけ。
どこかにごちそうは...... あれ?
(!?)
ああ! あいつ私のお菓子持ってる!
(!?)
(ピュピュー!)
こら、待って!
さあ大変です!
カウラは、鍛錬はおろか、お菓子を食べてもいませんでした!
シュナイデルは必死になって
緑キノコを追いかけますが、果たして......?
(!!!)
ふう、ふう、ようやく追い詰めた。
これで終わりだ、って、うわああああ!!!!
落ちるー!!!!!
またまた大変です。
緑キノコを夢中で追っていたシュナイデルは、
なんと崖のふちまで来ていたのです!
飛びかかった彼女は、そのまま緑キノコを抱きながら
崖の下へと落ちていきます!
第一話にして、ユミンジャーズの活動は
本当に終わってしまうのでしょうか!?
この事態に気付いて、カウラ!
遅い。
そろそろご飯を食べたいんだけどなあ。
お菓子ぐらいであんなに怒って。
本当にシュナイデルはバカシュナイデルなんだから。
ちょっと、探しに行ってみるか。
~マイホームの外にて~
あれ、これってシュナイデルのお菓子だ。
ここにも、あっ、あっちにも落ちてる。
なるほどねえ、そういうことか。
バカシュナイデル。
~どこかの川辺にて~
いたた......
落ちたところが川でよかった。
でも、お菓子は取り返したよ!
中身はもうないけど。
アイツも、どこかに行っちゃったみたい。
そうだ、戻ってカウラに謝らなきゃ!
カウラ!
~マイホーム裏、どこかの山道にて~
このあたりにもチラホラ。
ふう、シュナイデル、一体どこまで行ったの。
あれ、この先はもしかして。
やっぱり、ここだけ土がえぐれてる。
シュナイデルってば、まさかこの崖の下に......?
いや、あの子は馬鹿だけど、さすがにそこまで馬鹿じゃない。
他を探そう。
・・・・・・
だけど、万が一っていうのが、あるかもね。
え、大変なことが起きた、ですって?
ええっ、シュナイデルを探しに行ったカウラも
崖の下に向かったですって!?
それは大変ですね、急いで追いましょう!
あ、雨が降ってきちゃいましたよ!
ぐすん。
ここはどこ、私はだれ。
私はシュナイデル。
嫌いなものは暗黒の魔法使い、と、カウラ。
なんてことを言ってる場合じゃない。
本当にここはどこ?
ちょっと座って、雨宿りしよう。
寒い。
お腹空いたよ。
カウラ.......
おや、もしかしたらこの川って、私がいつも水を汲みに来る川と似てる。
よし、ちょっと歩いてみよう。
~山のどこかの崖にて~
いや、やっぱり無いわ。それはない。
だって、お菓子と自分の命を天秤にかけてごらん?
誰だって自分の命を取るでしょ。
私だったらそうする。ああもう馬鹿らしい。
引き返して、家の近くだけ探して帰ろう。
さあ、今度も大変です!
カウラは鍛錬をしていませんでしたし、
お菓子も食べていませんでした!
それに加えて、崖の下にも行っていなかったのです!
なぜでしょう!?
私たちの期待を裏切っていることにさえ気付いていません!
~どこかの川辺にて~
もうすっかり夕暮れだ。
服もぜんぜん乾かない。
だけど、やっぱりここはいつもの川だ!
ここからなら、カウラが居なくたって帰れる!
カウラ、まだ怒ってるかな?
~マイホームにて~
おや、今日の晩ご飯はエビルアイの尻尾巻きと、
コールドアイの鍋のようですね。
それと、幽霊キャンディー?
どうせお腹が空いたら帰ってくるでしょ。
それに、シュナイデルが怒って家出することなんか
今に始まったことじゃないし。
お風呂も、もう沸いたかな。
ただいま~。
おかえり。
もうご飯できてるし、お風呂も沸いてるよ。
って、なんでそんなにびしょ濡れなのよ。
崖にでも落ちた?
うん......
緑キノコが私のお菓子を持ってて、それで......
え、本当に落ちたの!?
やっぱりアンタって......
うるさいなあ!
それよりタオル持ってきてよ、びしょ濡れで寒いんだから!
はいはい。
ホラ。
え、これって。
お菓子。
買い出しのついでに買ってきた。
カウラ......! ありがとう!
もういいから、さあ、ご飯食べよう。
アタシもシュナイデルのこと待ってて、お昼食べてないんだから。
うん!
カウラ、ごめんね。
だけどその前に......!
(もがっ!!!)
これはなに!?
幽霊キャンディーじゃない!
まったく。
そのお菓子を買うためにメルをたくさん使ったんだから、反省しなさい。
そんな......
やれやれ、これで一件落着でしょうかね。
この二人はいつになったら
暗黒の魔法使いを倒せるのでしょうか。
明日はちゃんと鍛錬してくださいね。
カウラ、シュナイデル。
それで、シュナイデルを探すのをやめたんだよねえ。
やっぱりカウラなんて大っ嫌い!!!!
【第1話 カウラとシュナイデル】 完